動脈硬化性疾患の発症を予防するためには?

食事のコレステロールを制限するべきですか?

LDLコレステロール値が高い人は食事のコレステロール制限とともに飽和脂肪酸制限が必要です。LDLコレステロール値が高い人はコレステロール摂取量を減らすことでLDLコレステロールの低下効果が期待できます。

「日本人の食事摂取基準2015年版」ではコレステロール摂取の上限値がなくなりましたが、どれだけとっても大丈夫という意味ではありません。食事のコレステロールの影響は個人差が大きく、どれだけなら大丈夫という数字が出せないため上限値がなくなったのです。

LDLコレステロール値が高くなく動脈硬化疾患の危険因子もない場合はコレステロールを制限する必要はありませんが、コレステロール摂取が増加するとLDLコレステロールも上昇する可能性があるので過剰摂取は控えましょう。併せて、飽和脂肪酸の摂り過ぎには注意しましょう。

コレステロールが高い場合の食事のポイントは?

コレステロールの摂取は1日200mg未満に減らすことでLDLコレステロールの低下が期待できます。

コレステロールの多い食品(動物性のレバー、臓物類、卵類)は控え、飽和脂肪酸(脂身のついた肉、ひき肉、鶏肉の皮、バター、ラード、やし油、生クリーム、洋菓子)や、トランス脂肪酸の多い食品(マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ菓子)を控えましょう。

食物繊維の多い食品である、未精製穀類、大豆製品、野菜、海藻、きのこ、こんにゃく)を増やしましょう。

 中性脂肪が高い場合の食事のポイントは?

総エネルギー摂取量を制限して適正な体重を維持、もしくは目指すように1日の総摂取カロリーを適正に設定しましょう。

一般に総エネルギー摂取量(kcal/日)は標準体重((身長m)x(身長m)x22)x 身体活動量(軽い25~30, 普通30~35, 重い35~)から計算されます。肥満解消の場合は総エネルギー摂取量=標準体重(kg)x25~30(kcal)を目指しましょう。まずは現状から1日250kcal程度を減らすことから始めるのも有効です。

総エネルギー量のうち、炭水化物比率は50~60%とし、糖質を多く含む菓子類、飲料、穀類の摂取を減らし、アルコール摂取も25g/日以下に抑えましょう。果物や果糖含有加工食品の過剰摂取は中性脂肪を上昇させる可能性があるので注意しましょう。n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類の摂取を増やしましょう。

血圧が高い場合の食事のポイントは?

減塩を心がけましょう。高血圧の方では食塩摂取は6g/日未満が推奨されています。また、野菜、果物を積極的に摂取しましょう。(ただし果物の摂り過ぎは肥満、中性脂肪の増加をきたすので過剰摂取には注意しましょう。)

過度のアルコール摂取は血圧を上昇させるので制限しましょう。

動脈硬化を予防する食事のポイントは?

基本的には伝統的な日本食を意識しましょう。

肉の脂身や動物脂(牛脂、ラード、バター)を控え、大豆、魚、野菜、海藻、きのこ、果物、未精製穀類を取り合わせて食べましょう。加えて、減塩にも注意しましょう。

減塩を心がけた日本食パターンの食事は動脈硬化の予防に推奨されています。加えて過食、アルコールの過剰摂取、マーガリン、ショートニング、これらを用いた揚げ物、菓子に含まれるトランス脂肪酸を控え、適正な体重の維持を心がけましょう。

脂質異常がある場合の運動のポイントは?

運動不足は、肥満、血圧上昇、中性脂肪の上昇、HDL―Cの低下などの原因となります。毎日30分以上の有酸素運動を行うと動脈硬化の予防に有用です。有酸素運動(ウォーキング、速歩、水泳、ベンチステップ運動など)を、中強度(ややきつい程度)で行いましょう。中強度の運動は効果、安全面から適しています。1日合計30分以上の運動を週3回以上(できれば毎日)実施することを目指しましょう。日々の身体活動を増加させることも有用です。

一方、慣れない運動は筋肉や骨を痛める危険があります。動脈硬化がある場合、激しい運動で突然死や心筋梗塞を起こす危険もあります。動脈硬化の危険の高い場合、高齢の場合は自身にとって適度な運動を選択する必要がありますので、主治医の先生に相談しましょう。

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