![]() |
|
脳は体内で最も脂質の多い臓器であり、脂質代謝と神経変性疾患に関連する病態との複雑な相互作用が認識されつつあります。脳は脳脊髄液(CSF)で満たされており、CSFは血漿と同様に、細胞外への脂質輸送を担うリポ蛋白と呼ばれる脂質-蛋白複合体を含んでいます。複数のCSFリポ蛋白集団が存在し、中枢神経系でde novoで産生されるものもあれば、末梢で産生される蛋白成分から生成されると思われるものもあります。これらのCSFリポ蛋白質は、中枢神経系における脂質の恒常性の維持に重要な役割を果たしていると考えられていますが、CSF中のリポ蛋白質へのアクセスが限られており、存在量も少ないため、それ以外のことはほとんど分かっていませんでした。最近の多方面の分析技術の進歩により、髄液中の様々なアポリポタンパク質が構成するリポ蛋白ファミリーの組成の複雑さや脳循環における代謝について新たな知見が得られています。本講演では髄液リポ蛋白の組成、起源、代謝に関する現在の知見を紹介いたします。
・ 参加申込をする